沖縄の海に生きる人々の知恵が詰まった伝統的な木造舟、サバニをご存知ですか?
美しいフォルムに秘められた優れた性能は、まさに海人(うみんちゅ)の歴史の結晶です。
サバニは古くから石垣島をはじめとする沖縄の離島で使われ、人々の生活や文化に欠かせない存在として親しまれてきました。
この記事では、サバニの特徴や歴史、そして現代に受け継がれるサバニの在り方について探ります。
この記事を書いた人🌟(石垣島歴10年以上現役ダイビングインストラクター)
私「田渕寛大」は石垣島歴10年以上のダイビングインストラクターです。夫婦で「石垣リゾートKANS」を運営しています。
ダイビング以外にも沖縄や石垣島の情報を発信しています。
田渕 寛大
> 奈良県から海を求めて石垣島に移住
> 石垣島歴12年PADIインストラクター
> 年間300日以上石垣島の海をご案内しています
> 石垣産果物を販売「石垣島プレミアムフルーツMegu」運営
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サバニとは?
サバニ(鱶舟)は、沖縄県を中心とした南西諸島で古くから使われてきた伝統的な小型漁船です。
起源は諸説ありますが、かつては一本の木をくりぬいて作られる刳舟(くりふね)が主流で、素材は松が使われていたと言われています。
その後、森林保護のため琉球王国が木板を張り(はぎ)合わせた「ハギ舟」を奨励したことから、サバニが発達したといわれています。
サバニはどうやって作られる?
日本に残る唯一の「釘を一切使わない木造舟」であるサバニは、独特の製法で作られています。
サバニ造りには設計図がなく、職人から弟子へと受け継がれてきた経験と技術が頼りです。
材料には、丈夫でしなやかな宮崎県産の飫肥杉(おびすぎ)が最適とされています。
サバニの美しい曲線を生み出すために、まず舟の側面(舷側・ハラケーギ)となる2枚の長い板を用意します。
この並べた板に熱湯をかけながら、少しずつ曲げていくのです。
サバニ大工が経験に基づいて板に適切な圧力を加え、熱湯の量や曲げ方を調整しながら、舟の曲線が左右対称になるように仕上げていきます。
舟底の部分の木材は、カンナを使って内側を削り出し、形を造り出します。
接ぎ合わせ部分には、フンルー(フンドゥー)と呼ばれる木製の接合材や竹クギ(ルークギ)を使用し、板と板の接合に金属類を一切使わず、木材のみで仕上げます。
クギなどを使わないことで、海水による腐食を防ぎ、耐久性に優れたサバニが生み出されます。
まるで一枚の板のように滑らかに仕上げられたサバニは、職人の卓越した技術の結晶なのです。
サバニは沖縄の歴史ある伝統帆船なんです!
サバニの歴史
時代とともに素材や構造に変化があり、現在は板を組み合わせた板舟が一般的となりました。
さらに近年では、FRP(繊維強化プラスチック)製のサバニも登場しています。
海人さんたちの青い船はFRP製のサバニだね
サバニは、数人と荷物を乗せられるサイズが多く、帆漕レースの出場ルールでは全長4.5メートルから9メートル、幅1.5メートル以内と定められています。
推進方法は、「エーク」や「ウェーク」と呼ばれる櫂(かい)、四角い帆(フー)、そしてエンジンの3種類があります。
伝統的には櫂と帆を使った帆走が主流でしたが、戦後はエンジン推進が一般的になりました。
独特な形状をしたエークは、漕ぐだけでなく帆走時には舵としても使われます。
サバニは耐波性と運動性に優れており、帆を張ることで外洋を高速で航海できるのが特徴です。
まさに、沖縄の海人(うみんちゅ)たちの知恵が結集された舟と言えるでしょう。
サバニを使ったイベントは??
現在、サバニは漁業には使われなくなりましたが、毎年の沖縄県の伝統行事やイベント事で使われています。
また最近では観光やレジャーの分野で活用され、実際にサバニに乗れるツアーなども開催されています。
伝統行事
伝統行事の一つに「ハーリー(海神祭)」があります。
これは豊漁と海上安全を祈願する沖縄の伝統行事で、100年以上の歴史を誇ります。
毎年旧暦の5月4日に行われるハーリーの中で注目を集めるのが、サバニによる競漕です。
サバニに乗り込んだ勇猛な漕ぎ手たちが、勝利を目指して海上を疾走する姿は圧巻の一言です。
イベントレース
2023年から石垣島を中心とした八重山諸島で「八重山フーカキサバニレース」が開催されています。
KANSも救助艇として2024年度は参加しました!
このイベントは、八重山地方に伝わる木造帆船サバニの魅力を伝えるために始まったものです。
八重山フーカキサバニは、八重山地方に古くから伝わるサバニの保存と継承を目的とした新しいイベントです。
伝統的な木造サバニを現代に蘇らせ、その魅力を広く発信することを目指しています。
レースを通じて、サバニに込められた先人の知恵や技術を体感できる貴重な機会となっています。
サバニ体験ツアー
私たちが石垣島で沖縄伝統のサバニに乗るためには、ツアーに参加するのが一般的な方法です。
マリンショップが主催しているツアーや、造船会社が主催するツアーなどがあります。
石垣島だと「石垣島サバニ観光」さんや「吉田サバニ造船」さんが有名です!
おとなりの竹富島ですと「海風~シューカジ~」さんがツアーを開催されています。
ツアーに参加する際は、熱中症や日焼け対策として帽子、長袖の服やラッシュガードを着用することをおすすめします。
サバニ体験ツアーは、沖縄の伝統文化に触れながら、美しい海の上を帆走する爽快感を味わえる特別な体験です。
ぜひ、サバニに乗って沖縄の自然と文化の魅力を体感してみてください。
まとめ
サバニは、沖縄の海と共に生きてきた人々の知恵と技術の結晶です。
独特の構造と帆の操作方法を持ち、漁や交易、人々の交流を支えてきました。
現代では、レジャーや文化継承の面で新たな価値が見出されています。
サバニを通して、沖縄の海の文化や歴史に思いを馳せてみるのも素敵な思い出になるかもしれません。
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